禁75 私にできることは〜父の癌闘病話6
…とくに何もなかった。
いや、あったかもしれないけど何もしなかった。
いつものように細々と家業を手伝い、時間があれば病院に行き
ぼんやりしてから帰って、自室で酒を飲んで、寝る。
そんな生活をしていました。
この『父の闘病漫画』を描く為に
当時病院で貰った冊子などを見返しているのですが
「あれ?切り取った腸の位置ってここだっけ?」とか
「腹腔鏡手術の痕って5カ所もあったっけ?」など
いちいち、あら?あれ?言ってます。
本当に理解していない。
そのうえ忘れている。
切り取った場所が『上行結腸 』ということも
今日、あらためて知りました
↑お医者さん、図入りの冊子に色々書き込みながら
丁寧に説明してくれたのにね。
2018/ 九月のコマ日記
ちょうど良い気温の夜。
酔っぱらって歩くにはちょうど良い季節。
※↑知り合いでも何でもないただの通りすがりの酔っぱらいです
頑張って家までもたせようとしているのに
どうしてそういうことするんだ
私がここで漏らしたら「いいこと」もくそもないんだよ。
『カード拾い』とは
小学校のプールで行われた、プラスチックでできた楕円形の札を
水底に撒いて、児童に拾わせる修練。
地方によってはこの『カード』のかわりに『キンケシ』が
撒かれたという。
それくらい落ちている
朝、一番のりしても落ちている。
プールの水はめったに取り替えないからしゃーないのだけど、
夜中、嘔吐音を響かせながら自宅前を通る酔っぱらい。
どうか嘔吐は口内のみで停めておいておくれ。
禁74 手術当日〜父の癌闘病話5
前日から入院して準備します。
さすがの父も数日前からお酒を飲むのを止めていました。
父にとっては長い時間の始まりです。
癌の場所、大きさによっては、手術の途中から腹腔鏡手術から開腹手術に
なることもあるらしいです。
腹腔鏡手術は傷跡が4センチほどでした。
リンパに転移しているかどうかで今後の治療方針も違うらしいです。
『らしい』の連発なのは私がお医者さんの説明をちゃんと
理解していないからです。
正直、四人いればきっと誰かが、理解しておいてくれるんじゃないかな?
って気持ちがなくもなかったのです。
そのせいか、かなり正確ではない漫画になっていると思います
三年前ってこともあるけど。
結局、父は九日間入院しました。
内臓を摘出した割には短い入院期間だと思います。
禁73 もっとしゃべってくれていいんだよ〜父の癌闘病話4
臓器よ…
しゃべらないのなら
せめて…病になった部分を点滅させておくれ。
沈黙の臓器というと、私ら(元)酒飲みにとっては
肝臓のイメージが強いと思います。
かつて、父も私も
「肝臓は、相当酷くなってからじゃないと症状がでないから
気をつけないとな〜」
なんて言いながら毎日のように酒を飲んでいまいた。
しかし、臓器なんてものは自分の意志を持ちません
どの臓器も自己主張なんてあまりしません
何も教えてくれない。
教えてくれたらお前だって助かるのに
お前が教えてくれれば、早めに治療ができるのに
お前が教えてくれれば、「お前に良し、我に良し」なのに。
ままなりませんね、自分の体なのに。
禁72 心の支えは〜父の癌闘病話3
結局、酒…
不安だから酒を飲む
酒を飲むと不安になる
このスパイラル。
この状態で、酒を飲むことが「良くないこと」ってのは
父も当然わかっていたはず。
それでも飲まずにはいられない。
酒を無理矢理やめさせて、不安で眠れなくなられるのは怖い
治療が始まる前にメンタルが潰れるのが何より怖い。
父も、家族もどうすることが一番良いのかわからなかった。
今でもわかりません。
注)ポリープの数について
十一個という数字に思わず驚いてしまいましたが
考えてみれば、七十代男性が平均何個ポリープを
腸に持っているか、私は知りません。
もしかしたらたいしたことのない数字かもしれません。